ローソンが導入店舗を広げる「鍋さばきロボ」は、見た目だけなら分かりやすいロボットニュースだ。だが本当に注目したいのは、コンビニが店内調理をどこまで商品戦略にできるかという話である。
ローソンはTechMagicの調理ロボット「I-Robo 2」を、既存の1店舗に加えて首都圏3店舗へ順次導入する。300℃を超える火力で炒飯や野菜炒め、焼きそばなど13品を調理でき、食材投入のタイミングを画面で案内した後、炒め・混ぜ工程を自動化する。調理後は鍋部分を自動洗浄する。
ローソンは店内厨房「まちかど厨房」を約9,900店舗、全店の約7割に展開している。つまり、調理ロボの価値は数店舗で炒飯を作れることではない。
課題は、店内調理を大規模チェーンで再現可能にすることだ。
出来たて商品は差別化しやすい一方、厨房作業には技能、時間、清掃、人員配置が必要になる。ピーク時に注文が集中すれば、レジや品出しと人手を奪い合う。火力の高い炒め物は、通常のコンビニ厨房では特に扱いにくい。
ロボットが意味を持つのは、この制約を標準化できる場合だ。
誰が勤務していても一定の品質で調理でき、清掃時間を減らし、店舗オペレーションの負荷を予測可能にできれば、商品開発の自由度が上がる。逆に、ロボットの保守や材料準備に別の手間が増えるなら、単なる高価な厨房機器で終わる。
今回の3店舗追加は、まだ大規模展開ではない。むしろ見るべきは、この実証が何店舗まで広がるか、そして1食あたりの人時と廃棄、売上にどんな差が出るかだ。
小売ロボットが成功する条件は、人間らしく動くことではない。
現場の面倒な工程を、採算が合う形で同じ品質にそろえることだ。