韓国・釜山で稼働したロッテとOcadoの自動化CFCは、日本から見ても興味深い。理由はロボットの新しさではなく、オンライン食品販売で最もコストの重い工程に踏み込んでいるからだ。

Ocadoによると、施設は釜山・嶺南地域の約400万世帯をカバーし、最新世代のロボット、自動ピッキング、複数温度帯の運用を採用する。特に注目されるのは、マイナス25℃の環境までロボットを入れる「Auto-Freezer」だ。従来の人手による冷凍庫作業に比べ、2倍超の生産性を見込む。

韓国では午前7時前に届ける「Dawn Delivery」がオンライン食品の重要な競争軸になっている。この配送スピードを支えるには、夜間に大量注文を正確に処理し、短時間で配送へ渡す必要がある。

日本のネットスーパーも同じ構造的な問題を抱えている。

食品は温度帯が多く、代替品対応や鮮度管理が必要で、単価に対してピッキングコストが重い。店舗ピッキングは初期投資が低い一方、注文が増えると売場と作業が競合する。専用CFCは効率を上げやすいが、大きな固定費を十分な注文密度で回収しなければならない。

ロッテの施設は、その後者に大きく賭けた例だ。

成功を判断するには、ロボット台数ではなく1注文あたりの処理コスト、欠品・代替率、稼働率、配送品質を見る必要がある。高度な自動化でも注文量が足りなければ経済性は崩れる。

だからこそ、日本の食品スーパーにとって良い比較対象になる。

韓国の高いオンライン食品浸透率でこのモデルが成立するなら、日本でもどの地域・どの注文密度から専用自動化が合理的になるかを考える材料になる。

ロボットの技術競争というより、オンライン食品の損益分岐点をどこまで動かせるかの競争だ。